2014.06.06 (Fri)
尼崎市O邸ウリンデッキ

尼崎市O邸ウリンデッキをご紹介致します。
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ショールームにお越し頂いたのが3月初旬。他社さまと比較検討頂いた結果、
金額は高いにもかかわらず当社の施工品質を評価頂き(きっと)、
ご注文頂きました。
上質なものへのこだわりを捨ててまでコストダウンできない
という想いを受け取っていただけて嬉しい限りです。
5月中旬に引き渡し予定ということで時間的に余裕があったのですが、
通りに面したリビングの目隠し機能が重要で、
転居後できるだけすみやかに施工してほしいとのご要望があり、
現場確認ができるところから実測し、
工場加工を前のめりで進めることにしました。
現場前面道路の狭さや当社受注の公共工事の行程の問題で、
大工さんを引き連れての現場施工は早々に断念し、
工場加工で出来る限りのことをし、現場でソロで組立てるという、
最近の常套手段で進めました。

土間コンが仕上がったと聞きレベル測定へ。

壁の凹部分の内々とフェンスの内々を合わせるため、
フェンスの柱は袖壁の前に立つ形になります。

ところが、
反対側は建築壁面の内側のラインで土間が止まっていました。
まだモルタルを使う外構工事が残っているようなので、
増打ちしてもらうよう施主さまから外構業者さまにお願いしていただきました。
土間の勾配がきつかったので、
一箇所ずつ勾配を測り、柱の下を合わせてカットしました。
勾配でレベルをプレカットしておくというのはけっこう勇気のいることで、
少し位置がずれるとすぐレベルが合わなくなってしまいます。
多少は現場調整しないといけないと覚悟していました。
実際、現場で構造を組んだ段階でレベルのズレに気付いたのですが、
対処法は用意していましたので、
想定の範囲内の作業で済みました。
では、完成です。

横幅約3400mm、
奥行きはウッドデッキで1200mm、フェンス部分だけでは750mm、
フェンスの高さは地面から約2mです。
今回は、ウッドデッキにフェンスが付いているというより、
ウォールフェンスの中に実はウッドデッキが隠れていたというコンセプトで考え、
フェンスはシンプルな『面』の構成で考えました。
この微妙なニュアンスがお解かり頂けるでしょうか?

縦板は20mm×90mmを使用しています。
幅は105mmを使用することが多いのですが、
横幅と奥行きの板の割付を考慮して90mmを採用しました。
クリアランスは10mmです。

前面も側面も板幅とクリアランスは変わりません。
ただ、どうしても奥行きに半端な寸法が残ってしまいますので、

壁際に20mm幅の材を追加しています。
横から見ると、道路側は前面の板の側面20mmが見えていますので、
ちょうどシンメトリーになっているのです。
どうせ半端が出るのならとこだわってみました。

柱に横桟を固定し、縦板を横桟に固定するのですが、

縦板は工場で家具職人の手によりパネル化し、
現場でパネルを横桟に固定しています。
大工さんで現場施工するときは、
横桟にひたすら縦板をビス止めし、
全て貼り終えたところで上下を切りそろえます。

柱の垂直とピッチ、横桟の平行とピッチ、
縦板パネルと横桟の直角とピッチを同時に確認しながら、
バイスで仮止めし、慎重に固定していった結果、
これだけ真っ直ぐ揃えることができます。

天端もご覧のとおり。
いずれ板の反りが発生すると前後のバラつきが多少発生しますが、
あまりひどいことにはならないでしょう。

上から見るとこんな感じ。
フェンス柱の内面と建築壁面のラインが揃いました。

ウォールフェンスがメインというコンセプトと強度の関係で、
今回は通し柱仕様になっています。
柱部分の床板の切り欠きは工場で加工しました。
床板の端に切り欠きがくるように、
柱のピッチを調整しました。
ウリンなので耐朽性に関してはあまり神経質になる必要はありませんが、
雨水が滞留しにくい床下構造にしております。
また、フェンス縦板と床板の間はクリアランスをとり、
水やゴミが流れるように配慮しています。
鼻隠しが無いだけでも、
雨水の滞留は防げますし、乾燥が早くなります。

柱頭は面取りをした上で、
接着剤を塗って目止めすることにより、
木口からの水の侵入防止と、急激な乾燥による激しい干割れを防止しています。
いずれは干割れしてしまいますが、
ちょっとした手間である程度の効果を発揮します。

ウッドデッキはあまり奥行きをとれませんが、
リビングつづきの屋外のプライベートスペースというのは、
何かと重宝します。

目隠し、圧迫感、日当たり、コスト、
全てのバランスを考え、施主さまと共に高さを設定しました。

内側から見るとこんな透け具合です。
立ち止まって凝視しなければ気にならない隙間ですね。
バーチャルショールームでもご確認下さい。
まずは右から左へ受け流してみましょう。
目線はデッキ中央一点に固定して歩いています。
こんな目線で歩いている人間がいたら、
よほどのウォールフェンスマニアか不審者です。
今度は左から右へ。
これはさすがのムーディーでも前例のないことです。
目線はデッキ中央一点に固定して歩いています。
こんな目線で歩いている人間がいたら、
よほどのウォールフェンスマニアか不審者です。

ある程度完成のイメージはしていたものの、
図面で見てみると何か愛想なく感じたのですが、
実際に完成してみると、シンプルですが想像以上にいい感じでした。
褪色しても、縦板ごとの木目の違いがシルバーグレーの濃淡となってあらわれ、
またいい味を出してくれることでしょう。
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