2015.01.30 (Fri)
藤井寺市K邸門扉

藤井寺市K邸門扉改修工事をご紹介致します。
【More・・・】
2013年7月にウリンデッキを施工させていただいたお客さまで、
リピートしていただきました。
いつも言っていますが、
「リピート」や「ご紹介」はお客さまにご満足いただけたという、
何よりの客観的な証拠になりますので、
手放しに嬉しいものです。

これが既存の門扉です。
いろいろと凝ったつくりになっているのですが、
メインの平面が普通のベニヤ板でできているので、
劣化してペラペラめくれています。

また、内向きに垂れているので門扉同士が干渉するため、
施主さまが何度も削ってしのいでこられたとのこと。
門柱にヒンジの受けが仕込まれているので、
これをそのまま利用できたらかなり費用を抑えられると思ったのですが、

芯棒が曲がっていたり、

別のところはボルトを差し込んでいるというバラバラな仕様のため、
これを利用することは諦めました。
また、門柱自体も、
植木屋さんが乗って作業していた際、
頭の部分が落ちたことがあるということで、
ちょっと頼りになりません。
ということで、門柱自体も新しく建てることにしました。

既存門柱の後ろ側に新設門柱を建てたいところですが、
後ろ側の階段に扉が当たってしまいます。
ということで、門柱の内側に建てざるをえないのですが、
今度は間口が狭くなってしまいます。
難度も難度も現場実測し、
難度も難度も図面を描きなおした結果、
こんな門扉ができました。

デザイン的には和洋折衷を狙いました。
建築は純和風なのですが、
中古で入居された施主さまは洋風がご趣味で、
お庭や建築の中は少しずつ洋風にリフォームされています。

取っ手が左によってますね。
親子門扉です。
こうすることで、
普段使いでは以前よりも大きい間口を確保しております。
ウェーブカットの門扉はありがちですが、
左右非対称の親子門扉で、あえて対称のウェーブカットにすることで、
良い意味での違和感を持たせました。

落差が大きすぎたり、アールの切り替えが急すぎると品がなくなるため、
自然でありながらアクセントのあるな曲線になるよう計算しております。
ご主人さまが海釣りがお好きとのことで、
ちょっと波を表現してみようかなと思ったのが、
このデザインのきっかけでした。

ヒンジはタカショーさんのヒンジセットを流用しています。
以前から気にはなっていたのですが、
高価でなかなか手が届きませんでした。
今回は利益より面白い施工例を残すことを重視しましたので、
思い切って採用しました。
想像以上にしっかりとした造りで、
また使いたくなりました。

無骨な感じですが、開閉はすごく滑らか。
施工後の傾きの微調整もできるので、
メンテナンスの余地があります。

ハンドルは今まで愛用していたものが廃盤になったのですが、
ほぼ同じもの、いや、寸法的により扱いやすい同等品を見つけました。
これもアルミ門扉のパーツ流用です。
流用マニアです。
本来の用途でないところにぴったりはまった時の快感はたまりません。
プラモデル、釣り、バイク、ギター、金魚・・・
趣味でもあらゆる流用を楽しんでいました。
話が反れました、すみません。

門扉はいくら丁寧に施工しても、
経年変化やハードな使われ方によってたてつけが悪くなりがちなので、
鍵はこのよな遊びの大きい掛金式が最適です。
ロックができるようになったので、施主さまに喜んでいただけました。

これはヒンジセットの中のかんぬきです。
小さなお子様が勝手に開けて飛び出していかないようにということで、
セカンドロックとして手の届かない上のほうに取付けました。

門落しには悩まされました。
門扉が動くところより一段下で固定することになるので、
それだけストロークの大きい落としが必要なのですが、
既成品ではありませんでした。
そこで、同じ落としを2個用意し、
片方の丸棒を切断して溶接し、延長しました。

ただ延長するだけではダメで、
開けるときには引き上げた状態で維持できるよう、
ひっかかりの高さも計算しておかなくてはなりません。
ただ、門扉の下端と丸棒を落としこむ地面との差が大きいので、
門落としのアソビが大きく、通用側の開閉時に振動しやすいのが気になります。
「危うければ言って下さい。」とはお願いしておきましたが、
これでダメなら一から落としを作ることになるでしょう。

ポスト探しも苦労しました。
寸法的に門扉の厚みや幅とマッチし、
取付けが違和感なくでき、
見た目がすっきりしたものということで、
このブロック塀に埋め込むタイプのポストを採用しました。

シンプルかつ、
門扉のくり抜き部分を覆い隠す構造で美しい仕上がりとなる口金。

取り出し部分は防水性と使い勝手が決め手です。

全開するとひろびろ間口。
大型家具や菜園資材等もらくらく運べます。

親側は石段に当たらないように。
子側はポストが石積みに当たらないように。
すべて施工が終わるまで気が気ではありませんでした。

柱はウリン、扉はレッドシダー製です。
ウリンの大型門扉は重量的にも寸法安定性の面でも無理があります。
金属フレームにでもしない限り、後々使い物にならなくなるのは目に見えています。

いくら軽いレッドシダーでも、
ひしゃげてしまわないような構造が必須です。
この筋交でけでも手間がかかっていることはお分かり頂けると思いますが、
中ではもっとえらいことしています。
家具職人の手による加工ですが、
屋外での雨水の滞留についても配慮しています。

門柱の基礎の施工のために割った石貼り部分は、
モルタル充填後に石を貼りなおしました。
乾いてしまうとどこを割ったのか全くわかりません。

とてもご満足いただけ、
『次は生け垣をとっぱらって板塀にしたい。』
と、さらなるリピートの希望の光が灯りました。
Kさまご家族にとって、
福を招き入れ、鬼を跳ね返す守護神として、
末永く立ち続けていてくれることをお祈りいたします。
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