2016.05.07 (Sat)
ウリンのシミ
ウリンのシミについて、
今まで各施工例紹介記事ではぼちぼち書いていましたが、
今日はここを見ればすべてが解かるという記事にしたいと思います。

このシミの原因は何かというと、
木の中のタンニンが溶脱したものです。
タンニンとは植物に広範に存在している防御物質の1つで、
水溶性ポリフェノール群の総称です。
つまり、
ポリフェノール>タンニン
ということです。
ウリンがポピュラーとなる以前は、
『タンニン』という言葉がもっぱら使用されていましたが、
ウリンのシミの色がいかにも赤ワインを連想させ、
マイナスイメージを払拭するために、
『ポリフェノール』推しになったのではないかと想像します。
ま、どちらでも間違いではありません。
そのポリフェノールがコンクリート等のアルカリと反応することにより、
赤いシミになると聞いておりましたが、
これが正しいのかどうかがよくわからなくなっております。
施工完了後にデッキを水拭きすると、
雑巾も絞り水も赤く染まります。
水道水はアルカリに」寄っているからとも言えますが、
もしかすると、ウリンからの溶脱物質が単に赤い色なのかもしれません。
ウリンを初めて使用した頃は、
このシミには驚かされました。
すぐに輸入元に確認し対策についても調べましたので、
問い合わせがあった程度でしたが、
あちこちでクレーム扱いになったという話を聞きました。
それと同時に、
「施工完了後にきっちり掃除をすればシミは発生しない。」
「木口(切り口)を塗装してしまえばポリフェノールは溶脱しない。」
などというデタラメな情報も飛び交いました。
そんなことはどうでも良いとして、
ここでシミ特集を組んだのは、
ウリンのエクステリアをご検討される方に、
実態を知って頂きたかったからです。

基礎にシミができていますね。
ひと雨でこんな感じになります。

これも別の現場の基礎です。

直接接していませんが、
ブロック上に張り出したウリンデッキから流れ落ちています。

床板の目地から滴った雨が、
コンクリートの上に筋を作っています。

土の上でも筋が出来ます。

カーポートデッキの外周の下の土間はこんな感じ。

施工完了後に雨が降ったり、水洗いなどをすると、
たちまちこのような状態になります。
いずれこのような状態になるとはいえ、
せめてお引き渡し時にはきれいにしておきたいものです。
そこで、
台所用の漂白剤を水道水で希釈してシミにかけると、

こすることもなくきれいになります。
庭先のウッドデッキの場合は、
束石や土間が汚れるだけで大きな問題にはなりませんが、
上の画像のような擁壁上のカーポートデッキや、
ブロック上のウッドフェンスの場合は目立ちますので、
気になる場合はこのような対処法があります。
ただ、
タンニンの溶脱がおさまるまで雨がふるたびに掃除するのも大変です。
では、放置しておくとどうなるのでしょうか?

同じ現場の1年後です。
左側の擁壁がさっきシミがついていたところです。
うっすら筋がありますが、
何の汚れかわかりません。

完成後3ヶ月のフェンスの足元です。
しみがくっきりついていますが、

さらに3ヶ月後、
つまり完成後半年経過すると、
しみの赤味はほぼなくなり、褪色していることがわかります。

当社施工物件ではありませんが、
完成後3年ぐらいは経過していたと思います。
しみはうっすら残っています。
光による褪色とともに、
雨風による劣化も手伝っているのでしょう。

ウリンとは全く関係にない擁壁でも、
大気汚染物質や酸性雨の影響でしょうか、
こんなに汚れます。

一方、
これは完成後5ヶ月で褪色が進んだカーポートデッキですが、

真下の擁壁上のしみはまだ赤茶色です。
ここは日光や雨が直接当たらないため、
褪色も遅いのです。
後ろのデッキ構造を見てもわかりますね。

建築二階から出入りできるカーポートデッキですが、
樹液が漆喰の壁を伝うとこうなってしまいます。
これも漂白剤で軽減できるのですが、
漆喰のような表面が平滑でない状態では、
凹部に染みこんでしまうと落ちにくいという事実もあります。
先述のように、
タンニンは植物の防御物質のひとつであり、
含有量が多いものほど耐朽性が高くなると言えます。
イペ、アマゾンジャラ、レッドシダー等でも若干の溶脱はみられますが、
ウリンの溶脱はずば抜けて多いです。
だいたい施工後3ヶ月程度でおさまるようです。
ウリンのウイークポイントとも言えるシミについて、
ご理解いただけましたでしょうか?
マイナス面をご理解頂いた上で、
それをすっかり打ち消してしまうだけの魅力がウリンにはあると考えております。
「すべてが解かる」と言いながらあいまいなところがありましたが、
事実と憶測を混同しないよう正直に書きました。
ご清聴ありがとうございました。
P.S.
2020年3月21日撮影の、上記カーポートデッキ壁面画像です。

>
4年経過すると、
まるで血糊のようであったしみもこのとおりです。
これが事実です。
今まで各施工例紹介記事ではぼちぼち書いていましたが、
今日はここを見ればすべてが解かるという記事にしたいと思います。

【More・・・】
このシミの原因は何かというと、
木の中のタンニンが溶脱したものです。
タンニンとは植物に広範に存在している防御物質の1つで、
水溶性ポリフェノール群の総称です。
つまり、
ポリフェノール>タンニン
ということです。
ウリンがポピュラーとなる以前は、
『タンニン』という言葉がもっぱら使用されていましたが、
ウリンのシミの色がいかにも赤ワインを連想させ、
マイナスイメージを払拭するために、
『ポリフェノール』推しになったのではないかと想像します。
ま、どちらでも間違いではありません。
そのポリフェノールがコンクリート等のアルカリと反応することにより、
赤いシミになると聞いておりましたが、
これが正しいのかどうかがよくわからなくなっております。
施工完了後にデッキを水拭きすると、
雑巾も絞り水も赤く染まります。
水道水はアルカリに」寄っているからとも言えますが、
もしかすると、ウリンからの溶脱物質が単に赤い色なのかもしれません。
ウリンを初めて使用した頃は、
このシミには驚かされました。
すぐに輸入元に確認し対策についても調べましたので、
問い合わせがあった程度でしたが、
あちこちでクレーム扱いになったという話を聞きました。
それと同時に、
「施工完了後にきっちり掃除をすればシミは発生しない。」
「木口(切り口)を塗装してしまえばポリフェノールは溶脱しない。」
などというデタラメな情報も飛び交いました。
そんなことはどうでも良いとして、
ここでシミ特集を組んだのは、
ウリンのエクステリアをご検討される方に、
実態を知って頂きたかったからです。

基礎にシミができていますね。
ひと雨でこんな感じになります。

これも別の現場の基礎です。

直接接していませんが、
ブロック上に張り出したウリンデッキから流れ落ちています。

床板の目地から滴った雨が、
コンクリートの上に筋を作っています。

土の上でも筋が出来ます。

カーポートデッキの外周の下の土間はこんな感じ。

施工完了後に雨が降ったり、水洗いなどをすると、
たちまちこのような状態になります。
いずれこのような状態になるとはいえ、
せめてお引き渡し時にはきれいにしておきたいものです。
そこで、
台所用の漂白剤を水道水で希釈してシミにかけると、

こすることもなくきれいになります。
庭先のウッドデッキの場合は、
束石や土間が汚れるだけで大きな問題にはなりませんが、
上の画像のような擁壁上のカーポートデッキや、
ブロック上のウッドフェンスの場合は目立ちますので、
気になる場合はこのような対処法があります。
ただ、
タンニンの溶脱がおさまるまで雨がふるたびに掃除するのも大変です。
では、放置しておくとどうなるのでしょうか?

同じ現場の1年後です。
左側の擁壁がさっきシミがついていたところです。
うっすら筋がありますが、
何の汚れかわかりません。

完成後3ヶ月のフェンスの足元です。
しみがくっきりついていますが、

さらに3ヶ月後、
つまり完成後半年経過すると、
しみの赤味はほぼなくなり、褪色していることがわかります。

当社施工物件ではありませんが、
完成後3年ぐらいは経過していたと思います。
しみはうっすら残っています。
光による褪色とともに、
雨風による劣化も手伝っているのでしょう。

ウリンとは全く関係にない擁壁でも、
大気汚染物質や酸性雨の影響でしょうか、
こんなに汚れます。

一方、
これは完成後5ヶ月で褪色が進んだカーポートデッキですが、

真下の擁壁上のしみはまだ赤茶色です。
ここは日光や雨が直接当たらないため、
褪色も遅いのです。
後ろのデッキ構造を見てもわかりますね。

建築二階から出入りできるカーポートデッキですが、
樹液が漆喰の壁を伝うとこうなってしまいます。
これも漂白剤で軽減できるのですが、
漆喰のような表面が平滑でない状態では、
凹部に染みこんでしまうと落ちにくいという事実もあります。
先述のように、
タンニンは植物の防御物質のひとつであり、
含有量が多いものほど耐朽性が高くなると言えます。
イペ、アマゾンジャラ、レッドシダー等でも若干の溶脱はみられますが、
ウリンの溶脱はずば抜けて多いです。
だいたい施工後3ヶ月程度でおさまるようです。
ウリンのウイークポイントとも言えるシミについて、
ご理解いただけましたでしょうか?
マイナス面をご理解頂いた上で、
それをすっかり打ち消してしまうだけの魅力がウリンにはあると考えております。
「すべてが解かる」と言いながらあいまいなところがありましたが、
事実と憶測を混同しないよう正直に書きました。
ご清聴ありがとうございました。
P.S.
2020年3月21日撮影の、上記カーポートデッキ壁面画像です。

>
4年経過すると、
まるで血糊のようであったしみもこのとおりです。
これが事実です。
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