2023.02.23 (Thu)
耐朽性の倍返し ■木津川市Y邸ウリンデッキ■

木津川市Y邸ウリンデッキです。
2023年1月完成。
施工後18年経過したレッドシダーデッキからの
全面改修工事です。
ウッドデッキ部 W3250✕D1870
階段 W1400✕7段
手摺H1100
ステップ
【More・・・】

立派なエントランスデッキです。
当社施工ではありませんが、
お得意先の造園業者さんが
当社販売の部材で施工されたものでした。
たまたまです。
実は3年前に見積もり依頼を頂いておりましたが、
当時はご予算が合わずお流れになってしまいました。

毎日土足で歩行するウッドデッキ。
レッドシダーで18年もてば立派なものです。

手摺の笠木が落ちてしまっています。

サービスヤード側のステップも使用不能状態。

この最下段のステップは
端に乗ると天秤になり危険です。
問題なのは毎日使う玄関であるということ。
お客さまが朝出かけられてから解体撤去し、
ご帰宅前に歩ける状態に復旧しておかなければなりません。

現場施工時間短縮のために、
現場確認を何度も繰り返し、
工場加工のウェイトを増やしました。
しかし、
コスト圧縮や施工時間短縮を言い訳にしないよう、
強度やデザインも熟慮し
「最初からこのウッドデッキなら良かったのに」
と思っていただけるような完成形を目指しました。

新しいウッドデッキはウリン製です。
初日でウッドデッキ部分と正面階段の床板までは形にしましたが、
完成までには4日かかりました。

腐朽が顕著だったGL付近の踊り場的デッキ部分は
今回は除外しました。
なくてもデザインや使用に支障をきたすことはありませんし
コストダウンに大きく貢献しました。

階段は7段。

幅は前回のウッドデッキデザインを踏襲して
1400mmと2500mmの2段階になっています。

前回の階段は大引・束構造で
束柱が大量に見えてごちゃごちゃしていたので、
今回はささら桁構造として、
すっきりシャープに仕上げました。

ウリンでは大断面材が入手できないので、
手間がかかりますが手加工で集成材を造りました。

柱でも支えて強度バツグン!

桁のピッチが広めになる分、
床板はいつもより3割増し、40mmの厚みを使用しています。
45mmの規格品を反りを修正して削って仕上げました。

さらに、
最も荷重のかかkる鼻先の床板は
蹴込仕様で下から受けて補強しています。

三枚セットの段板のちょうど真ん中に柱を配置する機能美!

柱にあたる部分の床板を短くするだけで
きれいにおさまっています。

柱の脚元は
特注の溶融亜鉛めっき仕上げアングルで土間と固定。
必需品として毎日かならず使用するウッドデッキなので、
念には念をの強度対策です。

ウッドデッキの床下構造も今回はいつもと違います。
大引きはいつもの70ミリ角だと束の数が無駄に多くなってしまうので、
45✕90を採用し、
大引の背の高さを大きくし、
束ピッチを大きめにとっています。
大引の強度は材の高さ=厚みで決まります。
束は3枚板の集成材仕様で、
工場加工の手間はかかりますが、
現場での作業時間短縮をはかっています。
標準仕様より束の頭に水が溜まりやすくなるというのが
あえて言うならデメリットになりますが、
床板の真下に束を配置することで回避しています。
計算しつくしているのです!

こjこにも今回の特殊構造の理由があります。
建築のポーチ柱が躯体の端に立っており、
束を躯体上に立て、
大引きをポーチ柱の外に出して
はねだした床板を安定して支えるために
この構造がベストなのです。
さらに計算しつくしています!

床板はポーチよりはね出し、
手摺は床板に固定して
ポーチ柱の外側をまわる様になっています。

余談ですが、
ポーチ柱の脚元の化粧カバーが
かなり曲がって取り付けられていました。
柱とは別体になっており、
床板をシビアに切り欠かなくてもカバーできる構造になってるのですが、
なぜこんなに歪んでいるのでしょうか?
修正したかったのですが、
樹脂製のものが接着固定されているので、
下手に触ると壊してしまいそうなのでやめました。

フロアレベルは古いデッキと同じに合わせています。
その化粧カバーの下であり、
玄関マットを敷いてもドアが開く高さになっています。

崩れていたステップもしっかり復旧。

ウッドデッキや階段と同様に蹴込仕様です。

そして、
ずっと素通りしてきた、
特徴的なこの手すり!

過去にも
こんな眺望重視のウッドデッキや、
こんな建築に合わせたシンプルモダンなカーポートデッキに採用された
珍しく私のデザイン的趣向を反映した仕様です。

メッキなしの生鉄筋です。

開放感のあるエントランスになっています。

階段手摺柱の穴あけは苦労しました。
現場で階段の角度と柱の高さが決まってから
鉄筋を刺す穴の位置と角度を決め、
斜め穴を開けるときに起こりがちな表面のバリが発生しないよう、
抑えの定規を作ってから穴を掘るという、
非常に手間のかかる作業を大工さんにさせてしまいました。
安易に考えてしまいました。

柱頭と笠木はピッタリ。
ササラ桁は工場加工で製作しているので、
この角度も工場加工で問題ないはずですが、
慎重な親方は現場で柱を立ててから、
すべての柱を通して墨を打ち、
また柱を外して角度切りしました。
こういうところが合わないと
プライドが許さないのです。

このブログではおなじみの
階段笠木とデッキ柱の固定の仕口。
私の大好物です。
機能美!

デッキ手摺の笠木と高さを揃えがちですが、
それでは階段の手摺が高くなりすぎて
手摺でなくなってしまいます。

ヘビーユースな部分なので、
念には念をの3本打ち。

複雑な手摺の流れ方です。
親方と相談しながら現場でも図面から変更し、
最善の仕様を模索しました。

大枠では既存デッキを踏襲した大きさ、配置になっています。
動線が複雑ですが、
おそらく建築設計の段階で
植栽やウッドデッキも含めた外構デザインも考えられていたのでしょう。

合理性と遊び心の狭間をついた、
素敵な設計だと思います。
私には考えられません。

素敵なコンセプトは守りつつ、
よりアップデートされた強度と耐朽性を持たせ、
建築の雰囲気に合ったデザインを意識しました。

このウッドデッキは、
ウリンが褪色してシルバーグレーになり、
鉄筋が錆びてこそ
建築と一体化すると考えています。

旧デッキの2倍は長生きしてくれることでしょう。
時の流れに身をまかせた姿が楽しみです。
最後にバーチャルショールームをお楽しみくお楽しみ
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Y |
2023.03.13(月) 09:04 | URL |
【編集】
Yさま
コメントありがとうございます。
偶然にも18年越しに当社商品の改修工事となり、
ご縁を感じました。
「前のほうが良かった」と言われないような高品質を目指しておりましたので、
ご満足いただけて嬉しいです。
本当に経年変化後に真価を発揮するウッドデッキですので、
これからも定期観察させてください。
今後ともよろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます。
偶然にも18年越しに当社商品の改修工事となり、
ご縁を感じました。
「前のほうが良かった」と言われないような高品質を目指しておりましたので、
ご満足いただけて嬉しいです。
本当に経年変化後に真価を発揮するウッドデッキですので、
これからも定期観察させてください。
今後ともよろしくお願いいたします。
トヨキチ |
2023.03.13(月) 09:20 | URL |
【編集】
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豊吉さん、大工さんみなさんの様々な工夫と大変な工程が分かり、
感動しました。
また作りも非常に強固で安心して上り降りしています。
これからの経年変化も楽しみにしています。
家族共々大満足です。
どうもありがとうございました。